「ターンアウトをしようとすると膝やつま先だけが無理に開いて痛くなる」
「ジャンプの着地やプリエで膝が内側にカクッと入る(膝イン)」
という悩みは、股関節の硬さや内ももの筋力不足ではありません。
これは、膝を曲げ伸ばしする際に大腿骨と脛骨が自動的に回旋する
“スクリューホーム運動”の制御が崩れ、
膝蓋骨(お皿)が正しく溝を滑っていないために起こる運動解剖学的エラーです。
膝を痛めず、美しく洗練されたターンアウトと
下肢ラインを獲得するための膝関節バイオメカニクスを解説します。
膝のロックと解除を司るスクリューホーム運動
膝は単なる蝶番ではなく、伸ばし切る直前の約15度で
大腿骨が脛骨に対して内側へ約10度ねじれながらハマり込む
“スクリューホーム運動”を行います。
これが膝を骨格的に安定させるロック機構です。
股関節の外旋を使わず足首だけを外側に開いてプリエを行うと、
このねじれ方向と逆の負荷が膝にかかり、膝インを引き起こします。
半月板や内側側副靭帯を損傷する危険な動作です。
お皿を力任せに引き上げるという間違った意識のトラップ
脚を真っ直ぐ見せようとして大腿四頭筋を固め、
お皿を引き上げる行為は膝蓋骨のトラッキング(滑走軌道)を破壊します。
大腿四頭筋が過緊張すると膝蓋骨が大腿骨滑車に強く押し付けられ、
上下の滑りがロックされます。
プリエや屈伸のたびに膝の奥で「ゴリゴリ」という異音や痛みが発生します。
膝裏の膝腱筋の解除と大腿骨主導のターンアウト
膝に負担をかけず、股関節からつま先まで
完璧にアラインメントされたターンアウトを構築するアプローチです。
膝を伸ばし切ったスクリューホーム運動の
ロックを解除するキーは膝裏の“膝腱筋(Popliteus)”です。
動き出しの瞬間、太ももの前側ではなく膝裏の力をゆるめることで、
大腿骨が自然に外旋方向へ解放されます。
さらにターンアウトの際は、
膝蓋骨の中心と“第2足指(人差し指)”が常に同じ方向を向くようにアライメントします。
股関節の深層外旋六筋を起点に大腿骨全体を外旋させ、
膝には一切の捻れを発生させず屈伸を行うことで、
下肢全体のバネが最大化され、美しく力強いステップとポジションが可能になります。
ターンアウト・膝インに関するよくある疑問
Q: ターンアウトが開かないのは?
A: 足首で開こうとしています。
大腿骨主導の外旋が必要です。
Q: プリエで膝が内側に入るんだけど…
A: スクリューホーム運動が逆方向にねじれています。
膝裏のアンロックが重要です。
Q: 膝が痛くなります
A: 膝蓋骨のトラッキングが崩れています。
大腿四頭筋の過緊張を解放します。
Q: つま先と膝の方向がズレる
A: 股関節外旋が使えていません。
第2足指と膝蓋骨の方向を一致させます。
正しく開くターンアウトとは、足先を広げることではなく膝の捻れをゼロにすることである
ターンアウトで膝が痛むなら、足首だけで脚を開くのをやめ、
膝裏のアンロックと大腿骨主導の外旋によってスクリューホーム運動のねじれを相殺し、
膝蓋骨と足指の方向を一致させることです。
膝関節の運動学が完成すれば、
どの角度から見ても美しく洗練された下肢ラインを誇れるようになります。
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